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2025.2.28ゼロトラストセキュリティモデルの解説と導入方法
昨今のサイバー攻撃はますます巧妙化しており、従来の「境界型セキュリティ」では十分に防げないことが多くなっています。
そこで注目されているのが「ゼロトラストセキュリティモデル」です。
ゼロトラストは、「信頼しない、常に検証する」ことを基本理念として、内部も外部も一切信頼しないというアプローチを取ります。
このブログでは、ゼロトラストセキュリティの基本概念から導入方法、実践的な対策まで詳しく解説します。

目次
1.ゼロトラストセキュリティとは?
ゼロトラストセキュリティモデル(Zero Trust Security)は、企業内外問わず全てのアクセスを信頼せず、すべての通信を継続的に検証するという考え方に基づいています。
従来の「境界型セキュリティ」では、企業のネットワーク内に入ると信頼できるものと見なしていましたが、ゼロトラストでは常に「誰も信頼しない」前提でセキュリティを構築します。
2.ゼロトラストの基本原則
ゼロトラストモデルには以下のような基本原則があります:
1,常に検証
全てのアクセスは、ユーザーやデバイスがネットワークにアクセスする度に認証・認可が行われます。
2,最小権限の原則
ユーザーやデバイスには必要最低限のアクセス権のみを与え、最小限のリソースにしかアクセスできません。
3,アクセスの動的管理
ユーザーやデバイスのリスクに応じてアクセス制御をリアルタイムで調整します。
4,セグメンテーション
ネットワークを細かく分割し、攻撃の拡大を防ぐためにアクセス制御を実施します。
3.ゼロトラストセキュリティの必要性
ゼロトラストの概念は、現代のIT環境において特に重要です。
特にリモートワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、企業ネットワークはもはや一つの「境界」で守られるものではなくなりました。
ゼロトラストは、この新しい状況に対応するために生まれたモデルです。
なぜゼロトラストが必要なのか?
●リモートワークの増加
従業員が自宅や外部から企業ネットワークにアクセスする機会が増えており、従来型の境界防御では不十分。
●クラウドサービスの普及
クラウドにデータを移行することが一般的になり、企業の内部ネットワークに直接接続しているわけではなく、ゼロトラストのアプローチが有効。
●サイバー攻撃の巧妙化
内部からの攻撃(内部者脅威)やサプライチェーン攻撃など、従来の防御では対処が難しい攻撃が増加。
4.ゼロトラストの導入方法
ゼロトラストセキュリティを実装するには、段階的なアプローチが必要です。以下はそのプロセスです。
1.現状のセキュリティインフラの評価
まず、現在のネットワークインフラを評価し、ゼロトラストへの移行に必要な変更点を特定します。
これにはアクセス管理、セキュリティツール、ネットワークの構造などが含まれます。
2.認証と認可の強化
ゼロトラストでは、すべてのアクセスを強固な認証で検証する必要があります。
多要素認証(MFA)やシングルサインオン(SSO)の導入を進めましょう。
3.最小権限の実施
各ユーザーやデバイスには、必要最低限の権限のみを与えるようにしましょう。
これにより、万が一アカウントが侵害された場合のリスクを最小限に抑えます。
4.ネットワークセグメンテーション
ゼロトラストはネットワークのセグメンテーションを強調します。
リソースやデータにアクセスする権限を制限することで、攻撃者がネットワーク内を横断することを防ぎます。
5.セキュリティ監視と分析の強化
ゼロトラストは「動的管理」を重視しているため、リアルタイムでのセキュリティ監視が欠かせません。
アクセスパターンを分析し、異常を検知する仕組みを導入しましょう。
5.ゼロトラスト実装の課題
ゼロトラストモデルの導入にはいくつかの課題が伴います。
特に以下の点に注意する必要があります。
1,コストとリソースの投入 ゼロトラストへの移行には、新しいセキュリティツールやインフラの導入が必要となるため、一定のコストとリソースがかかります。
2,既存システムとの統合 従来のネットワークセキュリティシステムとの統合が難しい場合があります。
ゼロトラストを実装するためには、既存システムの更新や変更が必要です。
3,従業員のトレーニング ゼロトラストは新しいセキュリティモデルであるため、従業員や管理者には新しいプロセスやツールの使用方法を理解してもらう必要があります。
6.まとめ
ゼロトラストセキュリティモデルは、現代のサイバーセキュリティにおいて非常に重要な役割を果たします。
「信頼しない、常に検証する」アプローチは、ネットワークの境界が曖昧になる中で、効果的にサイバー攻撃を防ぐために必要です。
ゼロトラストの導入は容易ではありませんが、その実装を進めることで、企業のセキュリティは大きく向上するでしょう。
今後、ゼロトラストセキュリティの普及はますます進んでいくと予想されます。
まずは自社のセキュリティ環境を評価し、段階的にゼロトラストを取り入れることが重要です。
このブログ記事では、ゼロトラストセキュリティモデルについて深く掘り下げて解説しました。
ゼロトラストの導入は企業のセキュリティを強化するための重要なステップですが、慎重な計画と実行が求められます。
次回は、ゼロトラストに関連するツールや実際の事例を紹介したいと思います。